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インドの土地登記問題

イギリス植民地時代以前から、インドでは慣習的に土地を利用しているものに所有権があるとされていた(Intermesdiary Tenure)。
18世紀、19世紀になると東インド会社が土地利用制度が整備された。
Zamindariは政府が農業収入に対する税を徴収するために利用した。事実上耕作している者をZaminderと呼んだ。

しかし耕作者と土地保有者が異なる場合が見られ、税がZaminderから徴収されるのに対し、彼らははっきりとした土地所有権を有さなかった。
この制度は1954年の農地改革により廃止され、200万の土地保有者は政府からの土地賃借契約を迫られた。
さらに土地所有の分配をはかり、土地所有面積に上限をもうけたため、多くの土地が政府に帰属した。
これらの土地は土地を保有しない農民に配分され、小規模農家の多いインド農地はさらに細分化されていった。

しかしながら、配分は必ずしもうまくいっておらず、多くの州ではプロジェクトの遅れ、定住者選択の問題、組織間の調整不足などにより多くの農民が非保有のままで放置されている。
そして今でも慣習法であるIntermesdiary Tenureは一部で残っている。つまり、耕作放棄地などは耕作したもの勝ちなのだ。
このあいまいさが灌漑設備などへの投資をためらわせる要因になっているといえる。

参考文献
Dandekar V.M. and Nilakantha R., (2008), Poverty in India, Indian School of Political Economy, Bangalore, India


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インドの農業政策

1950年代は食糧不足、飢餓が問題となり、穀物の単収は522kg/haであった。
緑の革命により、1950年の収量5100万tから1970年代には1億800万tと飛躍的に向上した。
インド農業は10年で飛躍的に伸びたが、化学肥料と農薬による単収の増加が主な理由である。

政府は化学肥料と農薬に対する補助、食料価格の上昇を抑えるため、食料消費に対する補助を行っている。
人口増加に対する食糧増産が追いついていないため、農業投入に対する補助が必要とされている。
また、水や電力の使用に対する補助は過剰な使用につながっている。
これらの投入量に対する補助金は、"subsidy syndrome"といわれ、灌漑設備や土地、インフラに対する政策の遅れが指摘されている。

緑の革命の恩恵を受け、収量の向上が見られてたのは主に灌漑設備の整った地域海岸部である。
灌漑対策はパンジャーブ地方、西部地方を中心に進められており、中部、東部、一部の南インドでは対策が遅れている。
灌漑設備の整った地域への移民の増加が見られ、対策の遅れている地域では放棄地が増えている。



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お寺の牛小屋

ここはお寺が保有する牛舎。

ヒンドゥー教では不殺生を基本とし、カースト上位になるほど菜食主義が厳密に守られているようだ。
クラスメートのインド人は卵や牛乳も食べない。

特に、牛は神聖なものとされており、この寺では牛乳の生産と祭祀用に飼われているようだ。
瘤がついた白い牛には模様が画かれ、祭られている。

牛の世話をしているのは、アメリカから来たという女性。
そして獣医1名と約20名のスタッフがここで働いている。

オランダでは生産量の落ちる5年くらいで食肉加工所行きになりますが、 ここの牛は、15年くらい生きるそう。
そして、司祭が弱った牛を選び、nursaryと呼ばれる施設に連れて行く。
どちらにしろ、最後は食肉処理場へと運ばれることとなるが、生命を全うさせることをモットーとしているのだとか。






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参加型流域管理システム

土壌浸食は農家にとって大きな問題である。Soil erosion is Soul erosionと言われ、土壌浸食は肥料の過剰投入や過放牧などにより、意識されないままに進んでいく。特に、上流域の肥沃な表土の流出が持続可能な農業生産の障害となっている。

統合的流域管理とは、土壌や水の管理だけでなく土壌浸食の原因となる家畜の放牧、作物体系、植生、生活スタイルなど多様な観点からマネージメントを行うことである。

インドの現地NGO、MYRADAが取り組む南インドのWatershed Management Projectを見学させてもらいました。


Watershed Development Associations(WDA)

100-150haにわたる小規模貯水地(Micro Catchmentにおいて土地を保有するすべての農家が参加し、プランニング、予算管理、プランの実行、モニタリングを共同で行うグループ」と定義されている(Meenakshi and Aloysius, 2004)。
WDAのメンバーは自然資源管理と組織開発とプロジェクト管理についてのトレーニングを受け、貯水池の資源管理に関する責任を共有する。

MYRADAが出資したのはチェックダムと堀のみで、石垣の形成や給水ポンプは各農家が投資している。

「投資することを恐れることはなかった。土地の登記も取得でき、成功する自信があった。」と農家さんははっきり答える。
15年前は自家消費目的でRagiを作っていたが今は唐辛子、生姜、トマト、桑などの換金作物を生産しており農家として自立している。与えられたお金ではなく、自分で投資したからこそ起業者精神が生まれるのだという。

また、土地を保有しない貧困層には、養蚕やエミューの育成など新たな収入源を確保する取り組みを推進している。特にエミューは月1個、3年で約40~50の卵を産み、1個あたり1500ルピーで取引されており、大きな収入源となっている。

 

「バンガロールで働いていたころは、日々食べるのに精一杯だった。皮肉なことにこの村で作られた米を買っていた。今では休みたい時に休め、家族と一緒に仕事ができて幸せだ。それほど良い土地ではないけれど、この土地しかないのでここでやっていきたい。」
と、上流域で水田を始めたある農家さんは語る。

彼は農業を開始するにあたり、電線やパイプの設置に3万ルピーを投資した。農家自身がリスクを負うことが持続可能な流域管理の成功要素である。
牛乳の生産で月3,000ルピー、糞尿を肥料として売ることで年2,400ルピーの収入が入り、返済の目処が立っているという。

 

■お勧め参考文献
People's Institutions Managing Natural Resources in the Context of a Watershed Strategy (2003)
A Manual for Capacity Building of People's Institutions Managing Watersheds (2004)

Resource Management in Rainfed Drylands An Information Kit (1997)

■問い合わせMYRADA
ウェブサイト
http://www.myrada.org/


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ヴェーダの農業

Vedic Agriculture ベーダの農業

古代サンスクリット初期の言語で書かれているインドの「ヴェーダ」では次のように記載されている。
地球は母、空は父、空気は魂、太陽はエネルギー、そして、水は生命を支える脈。

ベーダ農業では、資源の投入は栄養補給のためだけではなく、5つのエレメントを適切なタイミングでバランスをとらなければならないという。

インドで神聖視されている牛は、ベーダ農業では中心的存在として書かれている。牛の糞と尿からプレパレーションをつくり、牛乳から、ギー、チーズ、ヨーグルトなどが生産される。

バイオダイナミック農業に少し似てないだろうか。

Yajnas とIshtisはベーダ農業の重点項目だ。
Yajnas(ヤガ、ホマ、イッシトともいう)はピラミッド型のポットで準備された火のこと。堆肥を作るときの余熱やバイオエネルギーを利用するのだ。

また、ハーブを使った病害虫コントロールについても言及されている。
使われているメディカルハーブの種類は多岐にわたっている。
Shatavari (Asparagus spp.), Bhallataka (Marking nut), Ashwagandha (Winter cherry),Kana (Long pepper), Guggulu (Comniphora mukul), Asana (Terminalia tomentosa)Shatapushpa (Dill seeds), Triphala, Karanja (Pongamia glabra), Adathoda etc. Haridra (Turmeric), Ginger, Oleander, Karavira (Nerium), Tulasi(Ocimmum spp.), Tobacco, Langli (Gloriosa superba), Arka (Calotropis) and Sami(Prosopis spp.)

中国の漢方はよく知られているけれど、インドのハーブや古代農法は未知の世界でおもしろい。
もうすこし文献を読んでいきたい。

緑の革命から常緑の革命へ

Ever-Green Revolution(永続する緑の革命、常緑の革命)という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。
提唱したのは、インドで緑の革命を導き、アジアのノーベル賞といわれるマグ・マサイ賞を授与されたSwaminathan氏。

1960年代、インドの緑の革命は食料の大幅な増産をもたらし、食料飢饉状態にあったインドは輸出国へと転じ、最も成功したといわれるパンジャーブ地方は"bread basket"と呼ばれている。
しかし、収量を大幅に増産した穀物は水や肥料を大量に要する。土地はやせ、収量は次第に落ちていった。
さらに、近代農業は高価な化学肥料と農薬に依存するため、インドの農民の半数は借金を抱えているという。
近年、農民の自殺が社会問題として取り上げられている。

インド有機農業の父、アルバートハワード氏は次のように述べている。
“Nothing effective has been done to replace the loss of fertility involved in this vast
increase in crop and animal production, and it brought two hungers to India; the stomach and the
machine”
(インドは空腹と機械の欠乏という2つの飢えにさらされている。)

こうした緑の革命の功罪を振り返り、第二の革命を導いたスワミナタン氏がスワミナタン財団を立ち上げたのは80歳になってからだという。
技術に頼らず、誰にでも小規模な投資で実践できる、先端と伝統を融合させた「エコ・テクノロジー」を氏は推奨している。
まさに、農業分野におけるルネサンスというべきエコテクノロジー。
今、祖先が築き上げてきた伝統技術が見直されている。ever-green 永続する緑のために-。


references:

Howard, S. A, (1943), An Agricultural Testament, Oxford, UK, Oxford University Press

Ministry of Agriculture, Government of India, (2010), Annual Report 2009-2010, Department of
Agriculture and Cooperation, [Online] http://agricoop.nic.in/AnnualRepor2009-10/AR.pdf

Ministry of Agriculture, Government of India, (2007), National Policy for Farmers 2007,
Department of Agriculture and Cooperation, [Online] http://agricoop.nic.in/NPF/npff2007.pdf

Swaminathan M.S., (1996), Sustainable agriculture : towards an evergreen revolution, Delhi,
Konark

Sud S., (2009), The changing profile of Indian agriculture, New Delhi, Business Standards Lt.

 

インドに行ってきます

修士論文のテーマがようやくきまりました。

訪れた研究室5つ、メールでの問い合わせ入れると10以上の組織や団体と話をしました。
そして、一番やりたかったプロジェクトに参加させてもらえることになりました。

テーマ:「政策事前評価 ex-ante policy assessment 」

政策評価というと、事後に行われることが多い。
事前評価は、事業の有効性や影響を事前に評価し、意思決定のサポートとなるツールを提示するというもの。
農家の生活への影響を様々な指標を使って事業影響評価を行います。

私のバックグランドは、国際政治学。
5年間の行政経験。
そして、農業分野での修士。

一見バラバラのような私の経歴のすべてがつながるテーマはこれしかない!と思いました。

ということで、8月からインドに飛びます。
現地のNGOであり研究所でしばらく修業させていただきます。


来週学期末試験、5月末1週間デンマーク研修。
そして6月2週間フランス農場研修のあと、月末にプレゼンと試験。



先行研究を7月に終わらせ、8~11月までインド、12月に修論発表。
・・・となるのが目標。。(あくまで目標^^;)

かなりタイトスケジュールですが、できるだけ修論を早く終わらせて、1月からは今後のキャリアステップにつながる道を探したいと思います!!


夏休みは返上です。
ヨーロッパにいながらまだどこにもいってない・・・vV
実習の農場のみ、、

すべてが終わってからの楽しみにとっておきます。

プロフィール

ブログ移動しました

「アグロエコロジー」続編:
http://agro-ecology.blogspot.jp/

たねのもりびと

ワーゲニンゲン大学大学院
有機農業研究科修了
(アグロエコロジー専攻)
Wageningen University
MSc of Organic Agriculture

ブータン政府GNH委員会インターン
国を100%オーガニックにする国家プロジェクトに従事

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