アグロエコロジー
オランダの大学院で有機農業を勉強する留学生の日記
なぜ旅をするのか?
「君は何をしているのか?」
24人のブータン人御一向を率いる団長は、インドで一人旅している日本人女性を不思議に思いたずねた。その女性は英語がまったく話せなかったので私が通訳をした。
女性「一人旅をしている」
ブー団長「何のために旅をしているのか」
女性「・・・」
ブー団長「何が目的なのか?たとえば、私たちは農業のトレーニングのためにインドに来た。ここにいるみけは、研究のために来ている。君は何がしたいのか?」
女性はうまく答えられないようだった。
ブー団長「なぜ英語が話せないのか?勉強しないのか?」
団長はさらに質問を続けるが彼女は黙る。これから英語を勉強すると言うのが精一杯だった。
ブー団長「Are you STUPID?」
君はバカなのか?と、言ってるよ、と直訳させてもらった。
この質問には女性はびっくりしていた。
ブー団長「もし、君が僕の家族なら殴っているところだ」
さすがにこれは訳さなかった^^;
目的なくただ旅をしている女性を、ブー団長には全く理解できないようだった。
そもそも、ブータンには一人旅をする人はいない。というか、誰かに会うためにほかの町に出かける以外、旅する理由がなければ、観光施設もないのだ。他の町に行く時は親族の家か友達の家に泊まる。
オランダにいた頃も、ブータン人はいつも一緒にご飯を食べていた。一人暮らしできず、必ず相部屋で生活していた。一人暮らしなんて、寂しくてできないという。
日本では結婚もせずに家族と暮らしていれば「パラサイトシングル」と呼ばれる。これを言うと、ブータン人には何が悪いのかわからない。逆に、なぜ一人で暮らすのかと聞かれる。
ある日、トレーニングの空き時間に数人でバザールに出かけた。
置いてけぼりを食った女性(20代)は、「友達だと思ってたのに置いていくなんて!」と、一晩中泣き、次の日もベッドにもぐりこんでしまっていた。バザールに行った仲間は次々に彼女のお見舞い?に訪れてなぐさめた。
小学生じゃないんだからそのくらいのことで・・・とあきれたのだけど、これも集団生活を重んじるブータン人ならではなのかもしれない。
とにかく、一人旅なんて彼らにとっては論外なのだ。
さらに、目的のない旅、つまり「旅そのものが目的」という理屈がわからない。
「日本人はお金持ちだからそんな浪費ができるんだね。そんなお金があったらもっと社会の役に立つことができるだろうに。」
と、ブータン人。これには返す言葉もない。
自分も昔は目的なくただ旅を楽しんでいたので何ともいえない。1都市にせいぜい1週間滞在しては満足して移動を繰り返していた。そして訪れた国数を数え、パスポートのスタンプを眺めていた。その時間があればもっと学べることがあったはずなのに。今は何をしていたのか聞かれるのが嫌で、あえて言わないことにしている。
何もしなくても生きていけることは、最高の贅沢だ。それを自覚せずに、もらっているものの上にあぐらをかいていればSTUPIDと言われても仕方ないだろう。
自分に言われているような気がした。私はもらっているものに対し何を返せるだろうか?
24人のブータン人御一向を率いる団長は、インドで一人旅している日本人女性を不思議に思いたずねた。その女性は英語がまったく話せなかったので私が通訳をした。
女性「一人旅をしている」
ブー団長「何のために旅をしているのか」
女性「・・・」
ブー団長「何が目的なのか?たとえば、私たちは農業のトレーニングのためにインドに来た。ここにいるみけは、研究のために来ている。君は何がしたいのか?」
女性はうまく答えられないようだった。
ブー団長「なぜ英語が話せないのか?勉強しないのか?」
団長はさらに質問を続けるが彼女は黙る。これから英語を勉強すると言うのが精一杯だった。
ブー団長「Are you STUPID?」
君はバカなのか?と、言ってるよ、と直訳させてもらった。
この質問には女性はびっくりしていた。
ブー団長「もし、君が僕の家族なら殴っているところだ」
さすがにこれは訳さなかった^^;
目的なくただ旅をしている女性を、ブー団長には全く理解できないようだった。
そもそも、ブータンには一人旅をする人はいない。というか、誰かに会うためにほかの町に出かける以外、旅する理由がなければ、観光施設もないのだ。他の町に行く時は親族の家か友達の家に泊まる。
オランダにいた頃も、ブータン人はいつも一緒にご飯を食べていた。一人暮らしできず、必ず相部屋で生活していた。一人暮らしなんて、寂しくてできないという。
日本では結婚もせずに家族と暮らしていれば「パラサイトシングル」と呼ばれる。これを言うと、ブータン人には何が悪いのかわからない。逆に、なぜ一人で暮らすのかと聞かれる。
ある日、トレーニングの空き時間に数人でバザールに出かけた。
置いてけぼりを食った女性(20代)は、「友達だと思ってたのに置いていくなんて!」と、一晩中泣き、次の日もベッドにもぐりこんでしまっていた。バザールに行った仲間は次々に彼女のお見舞い?に訪れてなぐさめた。
小学生じゃないんだからそのくらいのことで・・・とあきれたのだけど、これも集団生活を重んじるブータン人ならではなのかもしれない。
とにかく、一人旅なんて彼らにとっては論外なのだ。
さらに、目的のない旅、つまり「旅そのものが目的」という理屈がわからない。
「日本人はお金持ちだからそんな浪費ができるんだね。そんなお金があったらもっと社会の役に立つことができるだろうに。」
と、ブータン人。これには返す言葉もない。
自分も昔は目的なくただ旅を楽しんでいたので何ともいえない。1都市にせいぜい1週間滞在しては満足して移動を繰り返していた。そして訪れた国数を数え、パスポートのスタンプを眺めていた。その時間があればもっと学べることがあったはずなのに。今は何をしていたのか聞かれるのが嫌で、あえて言わないことにしている。
何もしなくても生きていけることは、最高の贅沢だ。それを自覚せずに、もらっているものの上にあぐらをかいていればSTUPIDと言われても仕方ないだろう。
自分に言われているような気がした。私はもらっているものに対し何を返せるだろうか?
PR
この記事にコメントする
この記事へのトラックバック
- この記事にトラックバックする
プロフィール
ブログ移動しました
「アグロエコロジー」続編:
http://agro-ecology.blogspot.jp/
たねのもりびと
ワーゲニンゲン大学大学院
有機農業研究科修了
(アグロエコロジー専攻)
Wageningen University
MSc of Organic Agriculture
ブータン政府GNH委員会インターン
国を100%オーガニックにする国家プロジェクトに従事
■ご挨拶
ご挨拶
■連絡先
メールフォーム
当サイトはリンクフリーです。
「アグロエコロジー」続編:
http://agro-ecology.blogspot.jp/
たねのもりびと
ワーゲニンゲン大学大学院
有機農業研究科修了
(アグロエコロジー専攻)
Wageningen University
MSc of Organic Agriculture
ブータン政府GNH委員会インターン
国を100%オーガニックにする国家プロジェクトに従事
■ご挨拶
ご挨拶
■連絡先
メールフォーム
当サイトはリンクフリーです。