アグロエコロジー
オランダの大学院で有機農業を勉強する留学生の日記
有機農業とGNH
「国の発展はGDPでなくGHN(Gross National Happiness)で測るべきである」
と、提唱したのはブータン国王。
私はブータンではGNH Comissionという機関のコンサルタントという位置付けになっている。
ブータン南部のこの町は外国人が珍しいので(私を含め、現在2人だけ)、よく話しかけられる。
もっとも、ほとんどの人は私をブータン人だと思っているので外国人だというと驚かれるのだけど。
GNHのコンサルタントって何するの?と聞かれることが多々ある。
私の専門は有機農業なので、有機農業は国民のGNHにどう影響するか?もし有機農業でGNHが悪くなるとすれば、どうすれば改善できるのか?というテーマで現状調査をしている。
ブータン政府は2020年までにブータン全土をオーガニックの国にするという至高の目標を掲げている。
ブログ読者からのメールの中には次のようなコメントがあった。
・ブータンって、閉鎖社会でもともと持続的なオーガニックなのでは?
・農薬や化学肥料は輸入しなくてはいけないので裕福な農家しか買えないのでは?
実は低いブータンの食糧自給率
ブータンは、経済のほとんどを海外に依存している。
税金収入は国家収益の1/3。残りは、海外からの援助(おもにインド)と水力発電で賄っている。
コメの自給率は50%。日本より低いのだ。
マーケットに売られている野菜はほとんどがインド産。
地元産は、収穫の季節に自分たちが食べる以上に採れた時のみ売られるため、不定期で価格変動が激しい。
地元産が食べたくなったら農家から直接買うか分けてもらわないといけない。
ブータン人の政府依存体質
ブータン人は、野菜の種や果樹の苗の配給、家畜の医療費、子供の教育まですべて政府に依存している。
農業普及員と村周りしていると、次はこの種がほしい、殺虫剤がほしいとおねだりに出くわす。
自分で買う必要がないので(化学肥料と殺虫剤は低額で配給)、インド人農家のようにわざわざ品種改良に自ら投資したり、雨水集積のための努力をすることはあまりない。
農業普及員はいう。
「農家は有機農業でもっとお金を儲けるためにマーケティングを政府にお願いしてくるのだけど、収量を上げるとか、品質を良くするとか、マーケティング以前に取り組まないといけない努力をせずに結果だけ求めるので困っている。」
ブータン人の海外依存と政府依存は簡単に変えられない困った問題だと思う。
借金漬けになって自殺する農家が後をたたないインドとは違って、土地を含め必要物資はほとんど無料で供給されるブータンはかなり幸せなことだろう。
しかし、農家の自助努力を促す取り組みが必要なのではないだろうか。
農家の自立を促す取り組み
種を大量生産しているのはDruk Seedのみであり、毎年政府が農家からの要望を取りまとめ、Druk Seedに依頼し、各農家に格安で配布されている。
新しい品種などはプロモーションのため無料で配られるため、マーケットに売りに出される地元産野菜のほとんどはプロモーションで配られたものだ。
現在、ブータン政府は、種を配るのではなく、自分で好きな種を選べるようにセレクトショップを各州に1つ設置する準備を進めると同時に、農家自身が種を生産・保存できるよう、コミュニティーシードバンクの設立を推進している。
■コミュニティーシードバンク設立(ブータン農業省HP)
http://www.moaf.gov.bt/moaf/?p=1453
と、提唱したのはブータン国王。
私はブータンではGNH Comissionという機関のコンサルタントという位置付けになっている。
ブータン南部のこの町は外国人が珍しいので(私を含め、現在2人だけ)、よく話しかけられる。
もっとも、ほとんどの人は私をブータン人だと思っているので外国人だというと驚かれるのだけど。
GNHのコンサルタントって何するの?と聞かれることが多々ある。
私の専門は有機農業なので、有機農業は国民のGNHにどう影響するか?もし有機農業でGNHが悪くなるとすれば、どうすれば改善できるのか?というテーマで現状調査をしている。
ブータン政府は2020年までにブータン全土をオーガニックの国にするという至高の目標を掲げている。
ブログ読者からのメールの中には次のようなコメントがあった。
・ブータンって、閉鎖社会でもともと持続的なオーガニックなのでは?
・農薬や化学肥料は輸入しなくてはいけないので裕福な農家しか買えないのでは?
実は低いブータンの食糧自給率
ブータンは、経済のほとんどを海外に依存している。
税金収入は国家収益の1/3。残りは、海外からの援助(おもにインド)と水力発電で賄っている。
コメの自給率は50%。日本より低いのだ。
マーケットに売られている野菜はほとんどがインド産。
地元産は、収穫の季節に自分たちが食べる以上に採れた時のみ売られるため、不定期で価格変動が激しい。
地元産が食べたくなったら農家から直接買うか分けてもらわないといけない。
ブータン人の政府依存体質
ブータン人は、野菜の種や果樹の苗の配給、家畜の医療費、子供の教育まですべて政府に依存している。
農業普及員と村周りしていると、次はこの種がほしい、殺虫剤がほしいとおねだりに出くわす。
自分で買う必要がないので(化学肥料と殺虫剤は低額で配給)、インド人農家のようにわざわざ品種改良に自ら投資したり、雨水集積のための努力をすることはあまりない。
農業普及員はいう。
「農家は有機農業でもっとお金を儲けるためにマーケティングを政府にお願いしてくるのだけど、収量を上げるとか、品質を良くするとか、マーケティング以前に取り組まないといけない努力をせずに結果だけ求めるので困っている。」
ブータン人の海外依存と政府依存は簡単に変えられない困った問題だと思う。
借金漬けになって自殺する農家が後をたたないインドとは違って、土地を含め必要物資はほとんど無料で供給されるブータンはかなり幸せなことだろう。
しかし、農家の自助努力を促す取り組みが必要なのではないだろうか。
農家の自立を促す取り組み
種を大量生産しているのはDruk Seedのみであり、毎年政府が農家からの要望を取りまとめ、Druk Seedに依頼し、各農家に格安で配布されている。
新しい品種などはプロモーションのため無料で配られるため、マーケットに売りに出される地元産野菜のほとんどはプロモーションで配られたものだ。
現在、ブータン政府は、種を配るのではなく、自分で好きな種を選べるようにセレクトショップを各州に1つ設置する準備を進めると同時に、農家自身が種を生産・保存できるよう、コミュニティーシードバンクの設立を推進している。
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プロフィール
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「アグロエコロジー」続編:
http://agro-ecology.blogspot.jp/
たねのもりびと
ワーゲニンゲン大学大学院
有機農業研究科修了
(アグロエコロジー専攻)
Wageningen University
MSc of Organic Agriculture
ブータン政府GNH委員会インターン
国を100%オーガニックにする国家プロジェクトに従事
■ご挨拶
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■連絡先
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