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参加型育種・種苗所有権


インドGDPの30%を農業部門が占め、雇用者の60%が農業に従事している。
収入の少ない農家にとって種苗の入手は重要な課題である。
商業的な品種改良は、土着の品種を減少させただけでなく、収量の高い品種は病害虫に弱く、農薬への依存を招いた。

貿易に関する知的所有権Trade Related Intellectual Property Rights(TRIPs)の枠組みがWTOで合意され、発展途上国においても作物品種の保全が求められるようになった。
Union for the Protection of New Varieties of Plants(UPOV)が1961年にパリに設立され、新しい種苗の開発に所有権が認められることとなった。
これにより、所有権のある種を農家同士で交換することは禁じられた。商業的な開発がメインで行われている

先進国と異なり、農民が育種を行っている途上国に適用するに当たって議論があった。
UPOVの動きに対し、途上国においては農業者の権利を守るための種苗保有権確立の活動が見られる。
これは、収入の低い農家の保護、コミュニティにおける伝統的農業の保全につながっている。
いくつかの途上国では、National Plant Breeders' Right(PBR)が制定され、コミュニティー間で品種の共有を行うシステムが推進されている。

北インドの約80%の農家は前年に取れた種を使うと答えている。
Uttaranchal州では半数以上の農家が種をコミュニティ内で交換している。
種を購入しない理由としては、コストが高い、品質への信用が低い、現地の条件に合わない、などがあげられている。
新種に関する情報源としては、農家>政府>NGO>種苗会社の順になっているのが面白い。

農業の近代化が作物の遺伝子の侵食genetic erosionを招く一方で、伝統的なコミュニティにおいては農家の知識が生物の多様性を維持してきた。
まさに科学知識が科学者から科学者へと受け継がれたのにたいし、伝統知識は農家から農家に受け継がれていたのだ。
参加型育種 Participatory Plant Breeding (PPB)は経済的価値だけでなく、社会的、文化的価値に焦点をあて、先進知識と伝統的農法知識を生かした種苗開発の取りくみが途上国を中心に行われている。 
農家、科学者、NGOなど新たなパートナーシップによる、品質が高く、農家の需要に合った種苗の低価格での提供が模索されている。

参考サイト:
IDRC http://www.idrc.ca/seeds
FAO  http://wwwfao.org/ag/cgrfa/pgr.htm
Erosion Techonology and Concentration (ETC) heep://www.etcgroup.org
Convention on Biological Diversity http://www.biodiv.org
CCAP(China) http://www.ccap.org.cn
LI-BNIRD(Nepal) http://libird.org

Vernooy R., (2003), Seeds that give participatory plant bleeding, International Development Research Center, Canada


 

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「アグロエコロジー」続編:
http://agro-ecology.blogspot.jp/

たねのもりびと

ワーゲニンゲン大学大学院
有機農業研究科修了
(アグロエコロジー専攻)
Wageningen University
MSc of Organic Agriculture

ブータン政府GNH委員会インターン
国を100%オーガニックにする国家プロジェクトに従事

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