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依存関係にあるケララとタミル

ケララではだいたい月給2万ルピーほどだが、タミルでは1~4千ルピーくらいだという。
隣り合う州でこれほどの格差がみられるのはなぜか。

ひとつはケララは気候に恵まれているということ。
雨の豊富なケララは水に困らない。水は貴重な財産だ。

そしてもうひとつは州の政策の違い。
インド初の共産党州。インフラ整備、教育に力を入れており、識字率はほぼ100%。
人間開発指数は北欧と引けをとらないのだとか。

街を歩いていても、ぐったりした野良犬はいない。
物乞いも見当たらない。
人も犬も元気だ。

高学歴社会のケララでは、農業に興味を持つ人は少なく、ホワイトカラーの仕事が好まれる。


昔あった田畑は、収益がより高く、労力をかけずとも育つティークやゴムのプランテーションに置き換えられた。
そして、毎日必要な米はタミルからの輸入に頼っている。

乾燥地帯のタミルは灌漑用水をケララに依存している。
イギリス植民地時代、ケララの水をタミルが利用しその代わり米を提供する契約を締結。

資本集約産業の中心はケララ、そして労力のかかる仕事はタミルからの出稼ぎ労働者が請け負うのだ。
同じ国内で分業が起こっている。生産優位の法則が隣り合う州でこうもはっきりみられるのは面白い。

ブローカーの派遣会社はタミルの労働者を商品として扱う。
出稼ぎ労働者は組織力が弱く、地元の労働者よりも扱いやすいため好まれる。

夫は土木工事、妻と子はレンガ工場など、家族で出稼ぎする例も見られる。
たいがいブローカーは家族をバラバラに連れて行く。
連絡の取れない家族。逃げたくても逃げられない状況。
女性は雇い主からのセクハラにさらされているのだという。


「ここは昔、棚田だったの。今はゴムとティークになってしまっているけど。私は元の状態に戻したい。」
とダニア。


資源豊かなケララでは生物の多様性に対する価値の意識が薄い。
しかし、もしタミルが米を提供できなくなったら・・・?
ゴムの価格破壊が起こったら・・?
彼女は研究者として、食の安全を保障する多様化をバンガロールから故郷のケララに提起しているのだった。
 

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「アグロエコロジー」続編:
http://agro-ecology.blogspot.jp/

たねのもりびと

ワーゲニンゲン大学大学院
有機農業研究科修了
(アグロエコロジー専攻)
Wageningen University
MSc of Organic Agriculture

ブータン政府GNH委員会インターン
国を100%オーガニックにする国家プロジェクトに従事

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