アグロエコロジー
ココナツとアグロフォレストリー
ココナツの役割
南国の風物詩ココナツは水の豊富な海岸部に多く、食生活に大きな影響を与えている。
カレーやスープ、おやつにと、いろんな料理に利用される。
最近ではココナツ油も人気。ココナツが南国の味覚文化を形成してきたのだ。
そして、ココナツの殻はゴムの収集に使われ、繊維はロープを作るのに重宝される。
幹は建材や燃料として利用される。
葉っぱはゾウの大好物だ。
多様な役割を担うココナツ。
廃棄物はなくゼロエミッションである。
ココナツは多機能性があるだけではなく、他の作物との相性が良い。
まず、根。
ココナツの根は幹近くに密集し、他の植物との競合が起こりにくい。
そして、光。
ココナツの木は光を良く通すため、他の植物への光が妨げられることは少ない。
きゃつさば、さつまいも、ヤム芋など、日陰でよく育つ作物との相性が特によく、
しょうが、ターメリック、クローブ、シナモンなどの香辛料もよく間作に使われている。
インドでは、水田の真ん中にココナツの木が植わっているのが面白い。
1haのココナツと、1haのカカオよりも、ココナツとカカオを混ぜたシステムのほうが収量が共に高いといわれている。
お互いの生理的補完効果によるものだ。
CPCRIの実験によると、ココナツに飼料を間作することで1haあたり4頭の乳牛が養え、収益は50%上がったという。
なぜ木を植えると作物の収量があがるのか?
木の枝うちを年2回することによって、窒素270kg/ha分の栄養が土に返り、作物が必要とする栄養素の90%がまかなえることになる。
しかし、木と作物の間隔をどれだけとるか、燃料としてどのくらい木を伐採するか、など管理の仕方によって収益が損なわれることもある。
何を間作に使うかは、市況、気候、土壌、農家の技術、好みなどによるが、他にもインドでは、とうもろこし、豆類、タロイモ、パイナップル、マンゴー、綿花、アルカナッツなどが間作されている。
アグロフォレストリーの土地所有システム
アグロフォレストリーで面白いのは、土地の持ち主、木の持ち主、作物の持ち主がそれぞれ違うことだ。
そして、さらに家畜が加わることも多い。
生態系が複雑になるだけでなく、tenure systemも複雑だ。
このパイナップル農家は、期限付きでゴム園を借りている。
ゴムが育てばパイナップルは育たなくなる。
今はまだゴムがとれない。いわば、お金が入るまでの保険としてパイナップル農家に土地を貸しているのだ。
▼ゴム+パイナップル+養鶏
このた旅で、今まで木にあまり興味がなかったけど、「気に」なってきたのでした。
この記事にコメントする
この記事へのトラックバック
- この記事にトラックバックする
プロフィール
「アグロエコロジー」続編:
http://agro-ecology.blogspot.jp/
たねのもりびと
ワーゲニンゲン大学大学院
有機農業研究科修了
(アグロエコロジー専攻)
Wageningen University
MSc of Organic Agriculture
ブータン政府GNH委員会インターン
国を100%オーガニックにする国家プロジェクトに従事
■ご挨拶
ご挨拶
■連絡先
メールフォーム
当サイトはリンクフリーです。