アグロエコロジー
マイソール有機農業見学(4)Dasaraの悲劇
Dasara、それは年に一度の州を挙げてのお祭。中心地はマイソール。
世界中から人が集まり、宿の値段は最低でも1泊約1000ルピーと破格の値段だった。
朝食の席でオーストリアから来た旅人と知り合った。
この旅人、1年半かけてインドやネパールを旅しているらしく、かなりオーバージェスチャー、オーバーリアクションが激しかった。
Dasaraについて熱く語る旅人に動かされ、バザールに行く予定をしていたが、Dasaraのパレードを見に行くことにした。
10時半。王宮前にはすでにかなりの人でごった返していた。
警備員によると、11時半からパレードが始まるという。
旅人曰く、「インドでは、正確な情報を知っている人はほとんどいないか、知っても教えてくれない。」
これには思い当たる節がある。
オーロビルのビジターセンターでmatrimanderの行き方を聞いた時、事前にビデオを見ないと入れないことを教えてくれなかった。そこに到着して初めてビジターセンターでビデオを見ないといけないことを知ったのだ。
「ビデオの予約をどこでとればいいか。」
そう聞かないと教えてくれない。ビデオの存在を知らない場合、この質問は不可能だ。
よって、欲しい情報を手に入れるには、インドでは多くの場合、かなり遠回りをすることになる。
「VIP席」と書いたチケット(1000ルピーくらいするらしい)を持っている人でさえ、VIP席までたどり着けず、私たちの隣に座っている。ダフ屋で偽者をつかまされたのか、向こうまで行くのをあきらめてここに座っているのかわからないが・・・
チケットを持っている人でもどこにいけば何が見れるのか分かっちゃいない。これがインドなのだ。
炎天下の中、待つこと3時間、時はすでに1時半になっていた。
突然の歓声とともに、太鼓を担いだ集団が群集を掻き分けて乱入してきた。
この後、悲劇が起きる。
太鼓の団体に押されて多くの観客が前の列に押し寄せる。
歓声は叫び声へと変わった。
うかうかしていると人の波に飲まれ下敷きになってしまう。
抵抗するのに必死で動画はもう撮れなかった。
「3時間もまって何でこんな目に遭わないといけないんだ。クソインド人め!!」
オーストリアの旅人が半狂乱になって暴れだした。
巻き込まれないように避難しようとするも、前方は柵でふさがれている。
播磨かどこかの夏祭りで下敷きになった観光客が死亡した事件が頭をよぎる。
ついに警官が仲裁にはいり、落ち着いたものの、このままここにいては危険だ。
またどこからパレードの部隊が出現するかわからない。
そして、DINOのデジカメの紐がナイフのようなもので切られ、いつの間にかなくなっていた!
「まぁ、昨日メモリ全部パソコンに取り込んだから大したことじゃないよ。」
と、DINO。ずいぶん大したことだと思うが、相変わらず落ち着きすぎている・・。
悪いが、これをネタにさせてもらった。
この危機を脱出するには、後ろに抜けることは不可能。柵の向こう側に渡るしかない。
「おまわりさん、盗難に遭いました!ナイフで切られました!(カメラが)」
身動きとれなかった状態から3時間ぶりに開放。
封鎖された道路を悠々と歩く。
警察署に被害届けを出すという名目で。
興奮状態になっている観客がハイテンションで私たちに野次を飛ばす。
にっこり笑って手を振ると、まるで自分たちがパレードの主役になったかのような歓声に包まれた。
これは、夢か現実か・・・300mほどあるいてもこの観客の波はきれそうにない。
スターになった気分で手を振るのもちょっと疲れてきた。
またイナバ物置状態。
警官に案内され、やっとのことで外の世界に出たのはもう2時半。
まだパレードは始まりそうになかった。
もう暴動は懲り懲りだった私たちは、食堂へと向かった。
結局、4時間かけて何も見れずに終わったDasaraだった。
DINOにとってはこんなトラブル続きなのは初めてだという。
NGO訪ねてきたのにスタッフが誰もいないわ、カメラ盗まれるわ、暴動に遭うわ・・・。
ケララのストライキといい、オランダでの難民キャンプ生活といい、あまり順調に進んだことのない自分はもしかしてトラブルの渦を呼び寄せているのではないかという気がしてきた・・^^;
まぁ、何やったのかよくわからない1日だったけど、日記のネタにはなった、ということにしよう。
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プロフィール
「アグロエコロジー」続編:
http://agro-ecology.blogspot.jp/
たねのもりびと
ワーゲニンゲン大学大学院
有機農業研究科修了
(アグロエコロジー専攻)
Wageningen University
MSc of Organic Agriculture
ブータン政府GNH委員会インターン
国を100%オーガニックにする国家プロジェクトに従事
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