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オランダ人のランドスケープ観

CIMG9099.JPG

草をはむ牛を見てどう思いますか?


ノルウェーでは、「人間の文化」だととらえられ、
オランダでは、「自然の風景」だととらえられているそう。

森林に囲まれたノルウェー。
本物の自然なんてどこにもないオランダ。

文化によって、「景観」に対するイメージも大きく異なるのです。

なにしろ、「世界を作ったのは神だが、オランダだけはオランダ人が作った」のだそうだから―。




国立公園を訪問した時のこと。

自然のランドスケープを守るために、降り積もる砂を取り除くというプロジェクトの重要性を力説されていました。
自然に降り積もる砂を人工的にとりのぞくことが「natural」かと疑問が湧くのですが、これがオランダ人の自然観なのかもしれません。


オランダ政府は、ランドスケープ保護のための活動に補助金をだしています。
environmental cooperativesとよばれる農家を中心とした環境保護グループは、いまでは150を超え、国土の20%がグループのメンバーによって管理されています。

平均メンバー:100農家(ほとんどが中小規模農家)
各農家の活動参加率:50%
活動内容:景観保全、グリーンツーリズム、有機農業、マーケティング、地域ブランド


特に興味深いのが、hedgerow(ヘッジロー)とよばれる生垣の管理。
生垣といっても、家の周りにあるあれじゃなくて、フィールドの縁にそって街道のようにつながっています。

Alder hedgerow(左) mixed hedgerow(右)
09aa4c01.jpega698607e.jpeg










もともとは、牛や家畜が逃げないように、掘ったのだというhegerow。
多様な生物のすみかとなっており、生き物の生息地を守るため、また景観維持のために保存が呼び掛けられています。

 

「ecological corridor」(生き物の回廊)
生き物が自由に移動できるように自然のネットワークを作るため、新しい掘を掘って既存の掘をつなげていくのだそうです。

ランドスケープの保全は一つの農家でできることではありません。
そして農家だけではなく、たくさんの市民の参加を必要としています。
オランダ政府は、すべての国土をecological cooperativesで管理することを目標にしています。

たくさんの参加が必要な景観保全プログラム。
でも、実際に管理するのは、個々の農家と個々の農地。

一は全、全は一。

一つ一つの小さな取り組みが、美しい景観を形成するのですね。


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ほう~

世界を作ったのは神だが、オランダだけはオランダ人が作った」おもしろい!こういうのまた聞かせてください♪
生け垣の話、学校で習ったものです。いつかもっとくわしく教えてほしいです。
  • furu
  • 2009/12/28(Mon)12:36:32
  • 編集

あけましておめでとうございます!

日本も今年は寒いって聞きました。
こちらこそ帰ったらいろいろ教えてくださいね♪
  • みけ
  • 2010/01/06(Wed)05:19:31
  • 編集

勉強になります

こんにちは!
京丹後でお会いしたタクです。お久しぶりです。
ブログ、たびたび拝見させていただいていますが、行動力に感服します(++)

景観の話…
「農村景観の保全」という言葉が定着して、新聞を読んでも、役場の人と話しても地元の人と話しても出てきますが、みんな本当はわかってないんじゃないかな、って思います(自分含め)
というよりも、もともとそれぞれの考えがあったはずなのに、外から仕入れた「美しい農村景観の保全」という(都合のいい)言葉にすり替えているというか…

「オランダだけはオランダがつくった」
はー。この考え方が、農業はじめ、オランダの先進性のベースになっているんでしょうか。
  • taku@tango
  • 2010/01/18(Mon)18:59:54
  • 編集

ひさしぶり!!

たっくんも活躍してるみたいやねぇ!!
オランダ人は先進的というか、自己中心的というか、、よくわからんけど面白い人たちです♪
機会があったら遊びに来てください♪
  • みけ
  • 2010/01/19(Tue)01:43:44
  • 編集

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「アグロエコロジー」続編:
http://agro-ecology.blogspot.jp/

たねのもりびと

ワーゲニンゲン大学大学院
有機農業研究科修了
(アグロエコロジー専攻)
Wageningen University
MSc of Organic Agriculture

ブータン政府GNH委員会インターン
国を100%オーガニックにする国家プロジェクトに従事

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