アグロエコロジー
フランスオーガニック農場研修(2)
モンサンミッシェルへの旅
■南米時間
8時半に出発の予定だったけど、昨日ワールドカップを見に深夜町に出かけて行ったラテンアメリカ人たちがなかなか起きてこなかった。
9時半。いいかげんにキレだす根の真面目なアジアンたち。
10時半。さすがにオランダ人たちもキレだし、南米人たちを置いていくことに。
総勢14名。出発。
2時間遅れで出発したモンサンミッシェルへの珍道中は始まったばかりだった。
■横柄なフランス人
フランス人というと、グループワークでもあまりいい思い出がなく、パリでもフランス人の横柄な態度にはいらいらさせられっぱなしだった。
気位が高いのか英語を話そうとしない。そして、レストランでトイレを借りようとしたら、鼻で笑いながら1ユーロ請求された。
どうもフランス人とは相性が悪いのか、どうしても好きになれない国だ。
■交通事故
ひょんなことから、うちのワゴン、溝にはまる笑。
▼後輪は完全に宙に浮いている。
Don’t warry, not a big deal!
・・・と言ったものの意外と重症。
浮いたタイヤに乗りかかるチーム。車体を持ち上げるチーム。車内に乗り込むチームに分かれ、脱出作戦を試みること30分。動かず。
見て見ぬふりをして通りすぎる車が大半、中にはスピードを落としてじろじろ見る車、写真を撮りだす車もあった。
他人事主義のフランス人の態度に憤慨する中、1台の車が停止し、声をかけてくれた。
「運転代わろう。」
旦那さんがハンドルを握り、奥さんが車体を押す・・・
「ハナ、トゥル、セッツ!」
すると・・・動いた!!
拍手、喝采。「カムサハムニダ~!!!」
そう、助けてくれたのは、韓国人だった。
2度の渡仏で唯一人の親切を感じたのはアジア人だったというのが皮肉なもので、やっぱりこういうときはアジア人だよねという結論に達したのだった。
■モンサンミッシェル
いよいよ到着。
モンサンミッシェル!
観光客の半数以上が日本人だった。
これまで日本人に会うことがあまりなかったので、日本語能力が相当低下していたのか、
「日本語お上手ですね。」
と言われてしまった・・・vV
いや、実は日本人です・・・
▼モンサンミッシェル
フランスオーガニック農場研修(1)
6月から有機農業システムデザインのコースを履修しています。
1ヶ月間の短期集中コース。16カ国から24人の学生が参加し、うち10日間はフランスのオーガニック農場で共同生活することになっている。
寝袋とテント持参。すべてが手作りの授業だ。
オランダからレンタカーをチャーターし、交代で運転。8時間の旅を終え、行きついたのはパリから西へフランス北部の町。オランダとは雰囲気の違う石煉瓦の街並み。
さっそく、農場にテントを張り、キャンプ開始。先に着いていた先生方がスパゲティーを作って待ってくれていた!
こちらでは、生徒と教授はほとんど同じレベル。ファーストネームで呼び合い、先生も後片付けや料理当番を担うのだ!
次からは3~4人のグループに分かれ、交代で料理することになった。毎日違う国の料理が楽しみ。
1日目 授業スタート。
通訳係(フランス語)、土壌専攻、畜産専攻の学生で構成される4つのチームを編成。
これから、土壌診断・家畜診断・作物診断・ランドスケープの4つのタスクをグループで解いていくことになる。
■タスク1・家畜診断
私たちのグループの1日目のテーマは畜産。
家畜診断ノートをベースに、動物の行動を観察したり、牛糞を分析したり、農家にインタビューしたりしながら、農場の問題点と改善点をまとめる。
2日目。雑草診断。
畜産や土壌など様々な専攻の学生と一緒に行動するので、本当に勉強になってます。
ランドスケープ評価
今日はランドスケープコンサルタントによるレクチャーを受けてきました。
- 土地利用の変化がどのようにランドスケープに影響を与えるか。
- ランドスケープの保護が、農業生態系にどのようなメリットがあるのか。
前半はランドスケープをどう評価するかについての講義。
Arc GISを使って、ランドスケープがどのように生態系のネットワークに影響しているかマッピング。GISは使い慣れていないのでちょいと苦戦しました・・
ランドスケープは「人と自然との相互作用によって形成され、人によって感知される景観。」と定義されている。
つまり、本質的に人によって解釈が違うものだけど、それを共通の指標を使って評価しようという新しい試みがヨーロッパを中心に行われています。
acter-based approach
土地利用の意思決定に重要なキーとなるアクターの行動を分析し、今後の土地利用変化のシナリオをシミュレートするというもの。
農家のperceptionの違いがどのような影響をあたえるのかという講義は興味深い。
オランダのランドスケープにとって、農業の果たす役割は大きい。
天敵に住処を提供し、病害虫から作物を保護するという、グリーン・ブルーネットワーク(Green-Blue network)。緑と水の回廊をイメージするとわかりやすい。
エコロジカルネットワークには、2種類ある。
- Robust element (source of natural enemies): 道路、堤防、樹木などハードなもの。天敵の源になる。
- Fine element (supplement of natural enemies): 堀、用水路、作物など小さなもの(5m以下)。
この2つを地理的につなげて生き物が移動できるネットワークを作るために、オランダ政府は農家に出資しています。
そして、後半は実際にサイクリングでまわりながら特徴などを解説してもらいました。
ランドスケープの指標
- vertical coherence
- horizontal coherence
- historical coherence
- seasonal coherence
主観的なこれらのインディケーターを、農家や専門家の間で話し合い、量的に測定するという研究が行われています。
たとえばvertical coherenceは作物体系や土壌との関係など、1つの農場レベルの指標。窒素溶脱の量などの項目であらわされる。horizontal coherenceは他の農場とどうつながっているかなど、地域レベルの指標。
他の2つは個人や地域のアイデンティティとなるもの。
価値観に関するものなのでどこをどうみていいかよくわからなかったけど、実際にサイクリングしながら解説してもらうと面白かったです。
(でも、いまだによくわからない・・・)
明日からフランス農場研修に10日間いってきます。
ランドスケープ専門家も参加されるようなので楽しみです。
有機農業システムデザイン
analysis and design of organic farming systems
オーガニック農場システムの分析とデザイン
・作物の種類の選び方
・動物の種類の選び方
・土壌肥料バランス
・飼料栄養バランス
・病害虫防除
・経済収支
・労働時間
・設備投資
・ランドスケープ
複雑にからみあう要素を一つ一つ分析し、どの作物(動物)を選ぶと、栄養や病害虫、ランドスケープがどう変化するか、労働時間や手取りがどれほど変わるか、コンピュータモデルを使ったシミュレーションをしています。
牛を放牧させるか、家畜小屋で飼うかによっても結果が変わってきます。
グループに分かれて、栄養バランス、収支バランス、すべて最高の組み合わせを競う。
牛乳いっぱいとれる牛を選んでも、飼料がたくさん必要になるのと、病気になりやすくなるので結果が良くなるとは限らない。
ひまわりの種を牛に与えたらどうなるか。
→借金が増えた!
などなど、クラスメートと楽しんでます。
コンピュータモデルもいいけど、機会があれば農業実習を受けたいと思ってます。
1週間の農業トレーニングコース(英語)が100ユーロで受けれます。
去年参加した人によると、とっても面白かったそうです。興味のある方は参加してみてください☆
http://www.ptcplus.com/EN/7,training/
I'm a guy
ゲイではないんだと必死で否定するクラスメート。
迷言です笑。
魂の侵食
家は燃えたら数週間でもとどおりになる。
田は燃えたら1年でもとどおりになる。
森はもとどおりになるのに10年かかる。
昔の人は知っていた。
肥料入れないとだめだというのは思い込み。
昔はなくてもやっていけたのに。
soil erosionはsoul erosionなのだ。
ドイツの育種企業訪問
ドイツのオーガニックブリダー"solana"を訪問してきました。
1905年に設立したじゃがいも専門の育種企業。
年間60種類、30万株を育種している。
ブリーディングの難しいところは、開発までに10年かかること。
交配成功確率は50万~60万分の1。気の遠くなる作業です。
開発費は1種の品種開発に100万ユーロ。ライフサイクルは、3~4年から30年。
solanaは設立以来じゃがいもオンリーでやってきているのがすごい。
ブリーディングの様子を見せてもらいました。
じゃがいもの種をとるために、煉瓦の上に種イモを置く。
こうすることで花がたくさんつくのだとか。
ちょっとかわいそう・・・vV
▼じゃがいもの種
オランダ、ドイツ、ポーランド、ウクライナ、ロシアなど東欧にも支部があり、インターンシップも募集しているようなので、育種に興味のある方は問い合わせしてみてください。
http://www.solana.de
デンマークの有機農業
デンマークで有機農業を研究するコペンハーゲン大学、オーフス大学とその付属研究機関を訪問しました。
デンマークの有機農業
デンマークの有機農業運動は1970年代に始まり、1987年農業省がorganic food councilを設立。
オーガニック普及率はEUtop5。
現在、野菜の10%、鶏卵の17%、牛乳9%、総農地の6%がオーガニックで、2020年には15%を目標にしている。(EUの目標値10%)
デンマーク政府が主動するプラン、Green Growthには1,600万ユーロ(20億円)の予算がついている(2009年度)。
ICROFS(International Centre for Research in Organic Food Systems)
2008年に農業省大臣が設立した国の機関。
ここでは、何と120名もの研究者がオーガニックに関する研究をしている。
デンマークの大学付属研究機関、消費者グループ、農協、国家審議会なども研究にかかわっており、IFOAM, UC davis(USA), Agro Ecology Institute(china), IFAD(tanzania), FiBL(swissland)などの国際機関もボードメンバーとして参与している。
オーガニック白書がHPでダウンロードできる。
http://www.icrofs.org/
CORE organic ERA-NET
2007年に設立されたEU11カ国が参加するオーガニックプロジェクト。
現在、CORE organic Ⅱが2010年3月に発動、27のファンドから資金提供を受け、参加国は22カ国に拡大している。
デンマークの研究機関
デンマークのPhD(博士課程)の月給はオランダよりも高く、3,000ユーロ~5,000ユーロくらいだという。
日本では逆に授業料を払わないといけないことを考えると破格の待遇だ。
その分税金が高いので生活費がかかるけれど、デンマークの博士課程はおすすめ。
リサーチプロジェクトの概要に興味がある方は概要ペーパー送ります。メールください。
プロフィール
「アグロエコロジー」続編:
http://agro-ecology.blogspot.jp/
たねのもりびと
ワーゲニンゲン大学大学院
有機農業研究科修了
(アグロエコロジー専攻)
Wageningen University
MSc of Organic Agriculture
ブータン政府GNH委員会インターン
国を100%オーガニックにする国家プロジェクトに従事
■ご挨拶
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