アグロエコロジー
オランダの大学院で有機農業を勉強する留学生の日記
ブログの終了にあたって
■記憶のカケラ
それに出会ったのはダラムサラだった。いや、もっと前に出会っていたのかも知れない。
でも、ダラムサラでの体験が強烈な記憶の断片をもたらしたのだった。
バンガロールでインターンしていたころ、偶然一つの写真を手に取る。
チベットの写真だった。
正確にはチベットかどうかわからない。ただ、チベット仏教の僧院だったのかもしれない。
なぜか妙に惹きつけられた。
「やっと、会えたね。」写真が語りかけているような気がした。
3ヶ月後、私はダラムサラに立っていた。
チベット亡命政府の建物は予想外につつましいものだった。
ダライラマ法王のパブリックスピーチの前日、寺へと向かった。
そこで見たものは、お経を唱える坊主たち。境内は袈裟の赤で埋まる。
初めて聞くチベット仏教のお経。
なんなんだ、これは。
声にならない叫びのように聞こえた。
気が付いたらなぜか泣いていた。なぜだか涙が止まらなかった。
その1ヵ月後、私は、ブータンのリンポチェが主導するプロジェクトで働くことになる。
もしも、運命というものがあるのなら、出会うべくして出会ったのかもしれない。
「カルマだね。」
カナダ人のプロジェクトコーディネーターで、リンポチェの弟子のカレンは言った。
■カレンの記憶
「私は前世の記憶を持って生まれてきたの。」
もう60すぎになるカレンは、自分の生い立ちを語ってくれた。
「母に寄ると、私は昔、鏡に映った自分の姿をみて叫んだんですって、私の髪の毛、どうして黒髪ではないの、白くなっちゃったわ、って。母は驚いて、カナダのチベット仏教の指導者、今の師匠に会わせたの。カナダに白人として生まれたのは、きっと師匠に会うため、そう、カルマだったのよ。」
「リンポチェの教室で夫と会った時、ずっと昔から知っている気がした。
夫はもう亡くなったけれど、今でも一番の親友だと思っているわ。」
カレンは、初めて会ったときから、何か変わった白人だと思っていたけど、本当に彼女の前世はチベット人なんだろうか・・・?
リンポチェは亡くなれば、同じころに生まれた者の中から転生者を探し当てることで選出される。
そんなことって本当に可能なんだろうか?
そして、自分がここにいるのも、もしかして遠い前世から決まっていたことなんだろうか?
■運命のイタズラ
「カルマ・・・。」
そこで、ハッとさせられるものに気づいた。
そもそも、オランダでオーガニックを学ぶきっかけになったのが、沖縄で会った占い師だった。
ネパールのチベット難民キャンプで占いを学んだという琉球人。
彼は言った。
「おまえは農業を学べ」
、と。
何だってこの人は私に農業なんて、、、
もしかすると、そのころからきっと始まっていたんだ。運命という名の連続。
一見バラバラにみえるような足取り。
それが自分の中でつながった時、カルマという言葉が木霊するのだった。
この川の流れはどこにつながるのだろうか。
雫はやがて大河となり、大海にでる。
一は全、全は一。
なるようになるさ。
川の流れに身を任せる水滴のように。
明日吹く風にまかせる。
明日は、明日の風が吹くから。
■旅の終焉
ブータンでのプロジェクトも一段落。
ついに、2年に及ぶ旅も終焉を迎え、帰国の途に就くことになる。
友人は言った、
「みけ、絶対戻ってきてね。何年たっても、みけが帰ってくのをずっと待ってる。」
Definately, if the heaven allows me.
ここで決めたこと。
天の道の完全なることを私は信じる。
もしも、ブータンに戻る縁があるならば、それに従うし、
もう今生で会えることがなければないで構わない。
たとえ明日死ぬとしても、どこかで別の命は生まれてくる。
そう、life cycleはどこかでつながっているのだから。
何も恐れることはない、とー。
I am happy to follow heaven's will.
Druk Airは2名のリンポチェを迎え、パロ渓谷を飛び立った。
ネパールの首都、カトマンズへ。
旅の終わり、そして、ここから新たな旅が始まるのだ。
Master of Organic Agriculture
ついに8月末付けで修士号を得、日本に帰国することになる。
ブログを始めた頃の目標は達成した。
ここで一旦、ブログ、アグロエコロジーを終了させてもらいたい。
また、新たな挑戦に出ることになれば、再開したいと思う。
今までブログを覗いてもらった方、どうもありがとうございました。
twitterではつぶやきを続けようと思うので、興味を持った方はどうぞ登録してください。
http://twitter.com/#!/agro_ecology
それでは、また逢う日まで。
9月10日 みけ
それに出会ったのはダラムサラだった。いや、もっと前に出会っていたのかも知れない。
でも、ダラムサラでの体験が強烈な記憶の断片をもたらしたのだった。
バンガロールでインターンしていたころ、偶然一つの写真を手に取る。
チベットの写真だった。
正確にはチベットかどうかわからない。ただ、チベット仏教の僧院だったのかもしれない。
なぜか妙に惹きつけられた。
「やっと、会えたね。」写真が語りかけているような気がした。
3ヶ月後、私はダラムサラに立っていた。
チベット亡命政府の建物は予想外につつましいものだった。
ダライラマ法王のパブリックスピーチの前日、寺へと向かった。
そこで見たものは、お経を唱える坊主たち。境内は袈裟の赤で埋まる。
初めて聞くチベット仏教のお経。
なんなんだ、これは。
声にならない叫びのように聞こえた。
気が付いたらなぜか泣いていた。なぜだか涙が止まらなかった。
その1ヵ月後、私は、ブータンのリンポチェが主導するプロジェクトで働くことになる。
もしも、運命というものがあるのなら、出会うべくして出会ったのかもしれない。
「カルマだね。」
カナダ人のプロジェクトコーディネーターで、リンポチェの弟子のカレンは言った。
■カレンの記憶
「私は前世の記憶を持って生まれてきたの。」
もう60すぎになるカレンは、自分の生い立ちを語ってくれた。
「母に寄ると、私は昔、鏡に映った自分の姿をみて叫んだんですって、私の髪の毛、どうして黒髪ではないの、白くなっちゃったわ、って。母は驚いて、カナダのチベット仏教の指導者、今の師匠に会わせたの。カナダに白人として生まれたのは、きっと師匠に会うため、そう、カルマだったのよ。」
「リンポチェの教室で夫と会った時、ずっと昔から知っている気がした。
夫はもう亡くなったけれど、今でも一番の親友だと思っているわ。」
カレンは、初めて会ったときから、何か変わった白人だと思っていたけど、本当に彼女の前世はチベット人なんだろうか・・・?
リンポチェは亡くなれば、同じころに生まれた者の中から転生者を探し当てることで選出される。
そんなことって本当に可能なんだろうか?
そして、自分がここにいるのも、もしかして遠い前世から決まっていたことなんだろうか?
■運命のイタズラ
「カルマ・・・。」
そこで、ハッとさせられるものに気づいた。
そもそも、オランダでオーガニックを学ぶきっかけになったのが、沖縄で会った占い師だった。
ネパールのチベット難民キャンプで占いを学んだという琉球人。
彼は言った。
「おまえは農業を学べ」
、と。
何だってこの人は私に農業なんて、、、
もしかすると、そのころからきっと始まっていたんだ。運命という名の連続。
一見バラバラにみえるような足取り。
それが自分の中でつながった時、カルマという言葉が木霊するのだった。
この川の流れはどこにつながるのだろうか。
雫はやがて大河となり、大海にでる。
一は全、全は一。
なるようになるさ。
川の流れに身を任せる水滴のように。
明日吹く風にまかせる。
明日は、明日の風が吹くから。
■旅の終焉
ブータンでのプロジェクトも一段落。
ついに、2年に及ぶ旅も終焉を迎え、帰国の途に就くことになる。
友人は言った、
「みけ、絶対戻ってきてね。何年たっても、みけが帰ってくのをずっと待ってる。」
Definately, if the heaven allows me.
ここで決めたこと。
天の道の完全なることを私は信じる。
もしも、ブータンに戻る縁があるならば、それに従うし、
もう今生で会えることがなければないで構わない。
たとえ明日死ぬとしても、どこかで別の命は生まれてくる。
そう、life cycleはどこかでつながっているのだから。
何も恐れることはない、とー。
I am happy to follow heaven's will.
Druk Airは2名のリンポチェを迎え、パロ渓谷を飛び立った。
ネパールの首都、カトマンズへ。
旅の終わり、そして、ここから新たな旅が始まるのだ。
Master of Organic Agriculture
ついに8月末付けで修士号を得、日本に帰国することになる。
ブログを始めた頃の目標は達成した。
ここで一旦、ブログ、アグロエコロジーを終了させてもらいたい。
また、新たな挑戦に出ることになれば、再開したいと思う。
今までブログを覗いてもらった方、どうもありがとうございました。
twitterではつぶやきを続けようと思うので、興味を持った方はどうぞ登録してください。
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それでは、また逢う日まで。
9月10日 みけ
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ありがとうございました
素敵な情報発信をありがとうございました。
Twitterでもよろしくお願いします。
http://twitter.com/#/yukipota
Twitterでもよろしくお願いします。
http://twitter.com/#/yukipota
Re:ありがとうございました
ありがとうございます。
こちらこそよろしくお願いします!
こちらこそよろしくお願いします!
- 2011/10/02 23:30
感動しました。
いやあ御仏縁ですね~!!本当に感動しました。
私も猛烈にチベット・モンゴル文化圏に惹かれるものがあります。またブリヤートのダッツアン寺にいきたいです。
私も猛烈にチベット・モンゴル文化圏に惹かれるものがあります。またブリヤートのダッツアン寺にいきたいです。
- 岩崎山法栄寺
- 2011/09/09(Fri)21:40:08
- 編集
Re:感動しました。
コメントありがとうございます。
ブータンでロシア人からロシアにも仏教圏があるという話を聞いて興味を持ちました。
いつか行ってみたいです。
ブータンでロシア人からロシアにも仏教圏があるという話を聞いて興味を持ちました。
いつか行ってみたいです。
- 2011/10/02 23:28
アグロエコロジー
プロフィール
ブログ移動しました
「アグロエコロジー」続編:
http://agro-ecology.blogspot.jp/
たねのもりびと
ワーゲニンゲン大学大学院
有機農業研究科修了
(アグロエコロジー専攻)
Wageningen University
MSc of Organic Agriculture
ブータン政府GNH委員会インターン
国を100%オーガニックにする国家プロジェクトに従事
■ご挨拶
ご挨拶
■連絡先
メールフォーム
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たねのもりびと
ワーゲニンゲン大学大学院
有機農業研究科修了
(アグロエコロジー専攻)
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ブータン政府GNH委員会インターン
国を100%オーガニックにする国家プロジェクトに従事
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